FUKUFUKU+  ART REANTAL

2021/06/15 09:46



ーArtist Interviewー

エイブルアートカンパニー所属アーティスト ウルシマ トモコさん



今回は想像力がかき立てられるような、魅力的なアートを生み出し続けるウルシマ トモコさんにアートを始めたきっかけなど、ここでしか聞けないお話を伺いました。

全てのインタビューは、こちらの動画からご覧いただけます。

ウ:ウルシマ トモコさん イ:インタビュアー


Q:ウルシマさんの障がいについて教えてください。


ウ:私は統合失調症で、24歳の時に病名をいただきました。ですが実際には10代の頃からちょっと変だったなと思います。でもまあ、今は通院していろんな事業所に関わって社会の接点を得て幸せな44歳です。





Q:通所してる施設、そしてウルシマさんの所属するエイブルアートカンパニーについてお話をお聞かせください。


ウ:私は社会福祉法人はるパイ焼き窯という世田谷にある事業所に通っております。私の人生のやり直しは施設の支援によって成り立っていると思いますし、たびたび感謝の思いがあふれ出します。私はワークを通じて、体験する勇気を抱きチャレンジしていけるようになりました。そして今も日頃の生活上の悩み事を解決へ誘導して頂けていて、安心と安定に必要な居場所だと思っています。

パイ焼き窯のお菓子は材料にこだわっていて、材料で技術のなさをカバーしようみたいな視点があることを以前に伺ったこともあって。16年通っても飽きないお菓子だなと思っています。


イ:エイブルアート芸大さんはいかがでしょうか?


ウ:エイブルアート芸大という開かれたアトリエといったら大体の説明になるんですけれども。

自分で新しい事を沢山試せる所で、仕上がりの後は違った自分を発見できるというところと、同じ空間で好きな絵をそれぞれに描ける居場所という感じです。絵になじみがあるとか無いとかではなく、心がバリアフリーになれる貴重な居場所だなと思っています。


イ:僕も1回お邪魔したことありますけれども、みんなそれぞれやってますよね。


ウ:上手いとか下手とかじゃないんです。みんな、発散しにくるんです。


イ:みんなそれぞれやって、みんなそれぞれなんだけど、でも同じ環境でやってるっていうところがいいですよね。


イ:社会福祉法人はるパイ焼き窯が1つ目の居場所、今お話いただいたのが、エイブルアート芸大が2つ目の居場所。そして3つ目の居場所があるんですよね?


ウ:はい、3つ目の居場所がエイブルアートカンパニーです。エイブルアートカンパニーは奈良に本部がある障がい者アートの団体です。トークイベントや勉強会、出版物や事業所の取り組みもあり、いつも新鮮で尚且つユーモアがあり、チャレンジしてみたいとか、私も役立ちたいとか、意欲を駆り立ててもらえるような所でもあります。私の印象ですがエイブルアートカンパニーはできるとかできないとかではなく、可能性を最大限に導く方法をみんなで考えてくれる所ではないかと感じています。


イ:これはどこの企業組織でも大事なことですよね。社員の可能性をどう引き出すか。どっちかというと仕事に人を合わすという感覚なんだけど、本当は人に仕事を合わすっていう風に本当はできればいいですよね。そういったものは比較的アートだと、その人その人の個性が前面に出ないとアートとしても力を持ち得ないし、違ってこそのものだから、そういった意味でもアートの世界って素晴らしいものだなと思いますね。

エイブルアートさんの可能性を最大限に導く方法っていうのは、いろんなチャレンジっていうのはきっと社会にとって絶対必要で、大事なことなんだなと思います。





Q:アート活動を始めたきっかけを教えてください。


ウ:私は幸運にも小学生の時に表現が理解された機会がありました。その時にわかってもらえた時の喜びを味わえたことは財産です。幼児の時からアトリエにも通ってはおりましたが、家にはいつも空き箱があって、工作が常に身近にありました。

子供の頃からものづくりをする人々への憧れが強く、技術者の方々が無心に作る姿が美しく見えます。その憧れを手にしたいと様々な事に挑戦してきましたが、簡単な事ではないと諦めたこともありました。自分の作品が種となって、暮らしの華となれるのを理想とする気持ちは、今でも変わらない思いです。

障がいを抱えても夢は消えず、私に残されたのは、これしか無い!とチャレンジしたのがよかったのかなと思います。それがあちこちへ見学に出掛ける行動の原動力なのかもしれないです。そして、その幼い頃にやっていた工作が人生の危機を救ってくれるとは!想像していなかった習慣だと思いました。





Q:日々のアート活動についてお聞かせください。


ウ:絵を描き、アート活動を通じて作品をご覧頂ける事は大変大きな幸せです。そして私の作品が暮らしの彩りになれたなら、病気になってしまったことが良かったと思えるくらいです。また作品を通じて、当事者同士や悩み苦しむ方々にもあの子も大変だったけど、私にだって可能性はあるんだ!と勇気に変わり、その方の小さな動きになれたならば、それが私のやりがいかなと思ったりしています。その事が私の制作上のテーマである「私がここにいていい理由」の答えならば、それに気づかされたこの対話が大変意味深い活動の1つとなっていくと思っています。





Q:アート「ー青のシリーズーについて」のご紹介をしていただけますか?


ウ:これはいろんなところに出てる作品ですけれども。ある展示会のビジュアルとして、日本デザインセンターの大黒大吾さんが選んでデザインして下さったのがとても嬉しかったですね。


イ:Twitterで質問があったんですけれども、こちらの作品、青い鳥はどんな思いで作られたのか気になります。


ウ:みなさん、これを鳥とおっしゃるので私も鳥にしているんですけれども。実はこれを作った時、エイブルアートカンパニーアーティストになるために作った作品の1つで、星をイメージしたんですよ。夜空に浮かぶ星座をつなげて、空想した時に鳥座(トリザ)みたいのがあったらいいなと思って。それをつなげた夜空に浮かぶ星座ですかね。青のシリーズっていうタイトルで何作か作ってるんですけど、そのうちの1枚っていう感じです。

ホントは星なんです。鳥でもいいんですけど。笑


イ:アートは感じる人の自由ですものね。笑


ウ:はい、そうですね。笑







Q:アートの色の使い方がとても素敵なので、どんな感覚で色を選んでるんでしょうか?


ウ:ありがとうございます。この絵の紹介と一緒にお話しすると、これがファッションと言って1番最初に切り絵でやったら面白いんじゃないのって色を塗り、上から貼ったんです。

色をどういう風に選ぶかっていうと、自分が材料にしているのは折り紙なんです。その折り紙を出して、色の組み合わせを楽しむっていうのが趣味っていうか。それを毎日はやらないですけど。その組み合わせでいいと思うのがあるんですよ、自分の中で。普段、見たり聞いたりしてるものが色とか形になって表現されてるのかなって思います。


イ:じゃあ、折り紙の色は100色ぐらいあるんですかね?


ウ:そうです、日本の折り紙とか変わった種類のも使ったりしていて、少しずつ違うので。

具体的に言うと1枚選ぶんです、好きな色を。それでそれに合う色っていうのを探してくっていうイメージです。そう言った手順で色は決めて、形に写して、ハサミで切ってのりで貼るみたいな流れです。







Q:どんなタイミングで絵を描きたくなりますか?


ウ:色もそうですし、作品で説明いたしますとこれは「マッチ棒」と言いまして、自分のテーマの1つの中に「暮らしの中の祈り」とかそういうものがあって、生活の中でいいなと思ったもの、それを絵とする。そんな感じですかね。

タイミングは、作るタイミングで思い出したもの。時間は決めてないんですけど、なんか鬱憤(うっぷん)たまってきた頃?笑

発散したいなと思った時。SNSで投稿したりしても収まらず、あー作ろうと思って作ることが多いんじゃないかなと思います。先ほど申し上げたように小さい頃から習慣の一部としてというのがあるから、三度の飯っていうか。そういう感じで当たり前のように食べるのと一緒に、当たり前のように何か作ってみるみたいな。そういう感じですかね。







Q:今後のアート活動での目標、思いを教えてください。


ウ:今後のアート活動の目標ですが、まず公募展ジャンジャン応募して、受賞を目指してっていうのは本来絵を描く意味とは違うかもしれないけれど、積極的な応募っていうのが1つあります。

それで2つ目は最近10数年越しの夢だったシルクスクリーンスタジオに行って、シルクスクリーンをやるっていう機会をやっと得たんです。今後、布や紙に作品を刷って展開できたらいいなと思っています。

それで目標としての終わりに私は支援を受ける立場なんですけれど、私も何かに役立ちたい!という気持ちが強くあって、私が病気になった後に残された力っていうのを考えた時に、チャレンジする事ができることなんじゃないかと考えました。そのチャレンジっていうのが、公募展への応募したい、受賞したいだとか、そちらに移っていったということだと思うんですけれど。その成果がお世話になっている方々への恩返しになれたらいいなと思っています。それが私の目標です。






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