2021/08/02 17:45
ーArtist Interviewー
エイブルアートカンパニー所属アーティスト そうみさん
今回は柔らかく、繊細なアートを描き続けるそうみさんにアートを描く際の裏話など、ここでしか聞けないお話を伺いました。
ソ:そうみさん イ:インタビュアー
Q:そうみさんの障がいはどういったことでしょうか?
ソ:29歳の時に統合失調症と診断されたんですけど、今40歳で、まぁ10年ぐらい経ってます。統合失調症という中には幻聴が聞こえたり妄想状態になったりするんですけれども、それは投薬のおかげで改善されてきて、全くなくなってきています。今は気分の落ち込み、気力が出ないとかやる気がわかないとかそれが数年間、主に続いています。去年の秋ごろから気分が上がったりまた落ちたりということがあったので、躁鬱、双極性障害と言われるものの投薬に移行しています。
Q:そういう症状になったのは、何かきっかけがあったのでしょうか。
ソ:27歳くらいの時から自立とか、正社員、デザイナーなどを目指していたんですけれども、ちょっとそれには及ばず。
そのほかに金銭的な部分やプライベートの人間関係など、そういうものが合わさってわからなくなってしまい、そういう病気になっちゃいました。
イ:本日そうみさんに、いくつかアートを持ってきていただきました。
イ:こちら一見、全部ベタ塗りに見えると思うんですが、結構細かく書かれている感じですよね。水色の部分などよく見るとペンで細かく畳の柄のように描かれています。
イ:これ当たり前ですけど一つ一つ描かれたんですよね。色はどうやって選ばれてるんですか。
ソ:見た目です。ペンの種類をある程度用意し、その中から適当に合わせました。
Q:今、そうみさんは、エイブルアートカンパニーに所属しています。日々のアート活動はいかがでしょうか。
ソ:ほとんどしてないんですけれども。笑
イ:統合失調症になってから、そうみさんにとってアート活動はどんな意味を持っていますか?
ソ:やりやすくなったと思いますね。普通の人だとアーティストになるとかイラストレーターになるとか、社会の中で働くまでのレベルにならないといけないけど、障がいを持って働いてアート活動が同時にできると言うのは楽なのかなと感じました。
イ:何かをやらなければいけないと言う呪縛から解き放たれて、カジュアルに自分自身に向き合えていると言うことですかね。
ソ:そうだと思いますね。
Q:今後のアート活動における目標はありますか。
ソ:前々から思っていたんですけれども、80歳になったら毎日空の絵を書こうと思っていて。水道橋の近くの歩道橋を渡っていた時に空を見上げて毎日描こうと、ふと思いました。
イ:空の色は毎日違いますもんね。飽きないかもしれないですね。
Q:優しい色使いが印象的ですが、色の組み合わせはどのように決めているんですか。
ソ:気分ですね。でもあんまり暗い色は使わないですね。
Q:作品のテーマ、特に具象でないものどうやって決めていますか。
ソ:その時に描きたいものですかね。笑
イ:何かやらなければならないではなく、フラットに自分に向き合われているので、そこにそうみさんらしさが感じられるような気がします。
Q:貝殻の作品は色合いや配置が気持ちよく感じられるのですが、どういう風にこのアートを生み出されましたか。
ソ:涼しげや爽やかを意識してこの色合いを選びました。大学の時、デザイン科でデッサンとか絵を描く事はしなくて、Macを使って作っていたんです。もともとは美大受験のため予備校に通っているときに、平面構成とか色彩構成とかをやっていたことがあるんですけど。それが元かもしれないですね。
Q:そうみさんのアートはどんなところからインスピレーションを受けていますか。
ソ:テキスタイルみたいなのが好きで。元になっているのはミナ ペルホネンの皆川明さんとかのデザインワークが好きで。
イ:いわゆる障がい者アートって言う呼称があると思うんですけれども、これどう思いますか?障がい者アートと言うとそのカテゴリーを作るということ自体どうなのか。別に障がいを持っていようが無かろうが、同じようにアートは生み出されますし、その人の特性を形容詞として、〇〇アートと呼ばれるのは障がい者アート以外にあまりない気がして。
イ:そういう風に呼ばれることに対してご本人はどう感じられますか。
ソ:自分自身、そこまで障がい者アートを知ってたわけではなくて。
社会の枠組みにおいて障がい者アートという枠組みを作ってくれる人がいたから、たまたまそこの枠組みにいる人もいるし。そうじゃなくて障がいを持っている人もいるけど表に出さずアート活動をしている人もいるし、障がいを持っていてもアートに興味がない人もいますよね。
フクフクプラスさんはアート、デザイン、障がい、福祉など混ざり合って新しい提案されているので、枠組みに限らず流動していくものなのかなと思っています。
イ:いろんな選択肢が社会の中にあっていい気がするから、障がい者アートという取り組みの中に入ってアート活動をしてもいいし、別に障がいを持っていてもその枠組みに入らずアート活動をしてもいいし、社会全体としていろんな枠組みがあって、たまたま障がい者アートという枠組みで捉えることがいろいろ意見はありますが、選択肢を用意してくれているということ自体が大事なのかなというような気がいたしました。
では今日はそうみさんをお迎えしてお届けいたしました。皆様ありがとうございました。