FUKUFUKU+  ART REANTAL

2021/09/14 16:51





ーArtist Interviewー

エイブルアートカンパニー所属アーティスト Seiyamizuさん


 今回は繊細な線で、独特な存在感のあるアートを描くSeiyamizuさんにアートを描くことの意味や作品の生み出し方など、お話をおうかがいしたいと思います。

セ:Seiyamizuさん イ:インタビュアー



Q:Seiyamizuさんは、多くのアートをペンで描いていると思うんですが、自分のイメージが固まってから描かれているのでしょうか?


セ:具体的にこういうものをこう描こうと思って描いているわけではなくて、紙を用意して真っ白な紙を見ていると何かそこにイメージが見えてくるというか。こういうのを描くぞと言語化せずに、紙の上にビジョンが見えるというか。それをペンで視覚化しているようなイメージでなんです。 

何かを下書きするとかはまずないですし、何かを描こうと思って決めてから描くわけではないので、書き始めたばかりの段階で完成形は自分でもわからないのです。描いているものを見つめてると、物語が進むように絵が生まれているような感じです。 

 

イ:一枚の描く時間はどのぐらいでしょうか? 





セ:例えばこれですと、多めに見積もっても5分はかかっていないと思います。 

 

イ:そうなんですね、かなり思い切って描かれていますね。 

本当に迷いなく描かれている感じですね。このアートの場合は、どこから描き始めたのでしょうか? 

 

セ:どこから描き始めたか思い出せないんですけれども、単純に物理的に描きやすいところから描き始めていると思います。いつも特に決まってないですね。先ほど白紙を見ているとビジョンが見えてくると言いましたけれども、ビジョンが見えてきた順番に描いていると思います。 





イ:それにしても、毎回描かれているアートにしっかりとした世界観がありますね。 

すごく即興なんだけれども、何かバランスが取れている印象があります。 




Q:Seiyamizuさん自身の障がいについてお聞かせいただけますでしょうか? 


セ:発達障害の中の自閉スペクトラム症と、精神障害の中の双極性障害です。 

発達障害の独特の脳の情報処理の仕方とか感じ方、環境の捉え方や言葉の理解の仕方がまず独特で。また、双極性障害なので気分の落ちたり上がったりが激しいので、発達障害の情報処理の仕方に加えて、気分の上がり下がりが医学的に病気と言っていいほどに激しい。 

そんな障がいです。 




Q:アートを描き始めた動機やきっかけを教えてください。


セ:描き始めたのは、中学2年生前後です。一般的にも中学生というと多感な時期で、自分もいろんなことで精神的にダメージを受けやすかったんですよね。そのダメージを心が受けた時に人によっていろんなストレスの発散の仕方があると思うんです。スポーツが得意な子だと体を動かして発散したり、音楽が好きだったらカラオケに行くとか、楽器を演奏したり。 

自分は運動は得意ではないし、音楽や歌も得意ではない。そういったものに自分のモヤモヤを発散する方法を見い出すことはできなかったんですね。 

その時、当時のテレビ番組で『美の巨人たち』というのがあって、たまたま見ていた時にピカソのゲルニカが特集されていました。 

写実的な絵だったら上手いってわかるけれど、ピカソのゲルニカみたいな絵って何が評価され、何が表現されているのかよくわからない。ですけど、その20分ほどの特集で今まで自分がよくわからないと感じていた絵がピカソの戦争の悲しみや悔しさとか実は込められている、そういう絵があるのを知って。 

番組を見るまでは絵はきれいに見た目通りに描くものと思っていて、それのどこが面白いんだと思っていたんですけれども、番組でいろんな表現の仕方を知って自分の感情とか気持ちを自由に表現していいんだと気づいたのです。その時に絵を描くというのが、自分のモヤモヤとかストレスを吐き出す方法としてもあっていました。




Q:今も、Seiyamizuさんにとってのアートは、ご自分の感情表現、ストレスを発散する手段でしょうか? もしくは、新たな意味が生まれているでしょうか?  

 

セ:中学生の頃からストレスに打たれて弱っている時、描いて発散するという手段としてはアートは、ずっと変わっていません。 

ただ、おそらく5〜6年ぐらい前から「いいね」と肯定的なリアクションをしてくれる方が出てきたんですね。 

絵を描くことで発散し、それが自分の中だけで終わるのではなくて、他の人から「いいね」と言われて自己肯定感を得られるようになり、ポジティブなコミュニケーションのツールになってきています。 

 

 

Q:今後何かアーティストとしてこんなものを生み出したいとか、また目標などはありますか? 

 

セ:目標としては「美術館に収蔵されたい!」というのがあって、自分の絵が生き残ってほしいというか。自分はいつか死ぬけれど、自分という存在が残って欲しいというのはありますね。 

 

 

Q:作品に着色されないのは何か理由があるんでしょうか? 

 

セ:着色してる絵もなくはないんですけど、単純に時間がかかるというのがあります。線だけならばサラサラっと走るように描けるんですけれども、塗るというのは時間と集中力が必要で、線だけで描く作業とは全く違う作業なんです。 

例えば色のついたバージョンを描くことはできますし、自分のオリジナリティを出すことはできるんですけれども、体力的に疲れるというのがあって。 僕のサイトには、一応デジタルで描いているものには色がついています。 






Q:最後にSeiyamizuさんにとってアートとはなんでしょうか? 

 

セ:苦しい時も描くし、楽しい時も描くし、すごくありふれた言葉でいうとライフワークなんですけれど、ワークではないんですよね。仕事ではないし。 

多分、自分の人生と一生切り離せないもの。アートとか芸術というよりは、描く行為がですね。 

自分の人生と切り離せないということは、平易な言葉でいうと生活の一部になるんですが、生活の一部というよりは人生の一部と言いたいですね、 

人生の一部だけれども、描いている時は特別な時間。特別な人生の一部でしょうか。 

うまくまとまらないんですけども。 

 

イ:うまくまとまらないからこそいいなと思います。それこそ愛だったりとか、きれいに言語化はできないが、言葉にならない大切さがあるように思います。明確にこうだとは言い切れないけど、人生にとってなくてはならないもの。アートってそういうものなのでしょうね。 

 

本日はありがとうございました! 

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